①ひまわりさんの☆☆を取り戻す・マジカルダイアログ
2012年1月12日、今年最初の個人セッションが始まる。
ドアを開けると、すらっとした背の高い若い女性が少し緊張の面持ちで静かに部屋に入ってきた。
「シャイニングネームを決めて来て頂けましたか?」ゆずがそう聞くと、
「はい、一応…」女性は恥ずかしそうに微笑みながらそう答えた。
シャイニングネーム…
これは自分に自信を取り戻すための素敵な儀式。
「あなたを信頼してる」「あなたを愛し大切に思ってる」という思いを込めて、
呼ばれると心地よい響きや言葉を自分で自分に付けてあげる最初の仕事。
“シャイニングライフ”はここから始まるのだ。
~今日のお客様~
・シャイニングネーム『ひまわり』さん
・年齢31歳 ・女性 ・未婚 ・派遣社員
「私って、いつも周りの人がよく見えちゃって… それに比べて私はダメだなぁって思っちゃうんです」
そう言うとひまわりさんは、微かに気弱そうな微笑みを浮かべてこちらを見た。
「そんなに自分のことダメだなぁって思っちゃうの?」
「はい。私って何をやっても、いつも中途半端で…」
全体的な雰囲気は自信なさ気に見えるのに、
自分を否定する言葉を発している時だけは元気な気がする。
「じゃぁ、自分の良いところは?それも知りたいなぁ」
ゆずの横に座っているあずが優しく彼女に語りかけた。
「・・・」
「思いつかない?」
「はい…。言おうとするんですけど、優しいとか…でもそれって優柔不断ってことでしょ?って思っちゃって」
「あぁ、どうしても欠点の方へ目が行っちゃうのね」
2人が同時に声をそろえて言ったので、彼女は驚いた顔をして私たちを見た。
「でもさぁ、それってちょっとヒドくない?あなたが可哀想過ぎると思うんだけど?」
ゆずがそう言いながらあずを見ると彼女も大きく頷いている。
「いつも自分にダメ出しを続けていると疲れるでしょ?」とゆずが笑いかけると、
「そうなんです!それにそんな自分も嫌になっちゃって、で、年も明けた事だから…」
「自分を変えたい!!」
今度は3人で同時に言ったものだから、思わずひまわりさんも噴き出してしまった。
「そうね。変わりましょ!いえ、変えましょう。あなたの理想のひまわりさんにね!」
ゆずはニッコリしながら真剣な口調で彼女に言った。
~ゆず&あずテレパシートーク(心の中での会話)~
ゆず「ひまわりさんは随分自信をなくしているみたいね」
あず「でも本当のひまわりさんはきっと、もっと華やかな人なんだと思うの。時折見せる笑顔で分かるもの」
ゆず「そうね。本当の彼女を見てみたいわよね」
あず「うん、見たい見た~い♪」
ゆず「それじゃ、まずは長年傷ついて来たひまわりさんを理解してあげるところからのスタートね」
あず「そう。周りが良く見えるということは、自分も良くなりたいって前向きに捉えている証拠でもあるしね」
※ ・・・ ※ ・・・ ※ ・・・ ※
あずが言った。
「ひまわりさんが他の人を見て羨ましく思うのも、それに比べて自分がダメだと思うのも根っこは同じなのよ。
『私も良くなりたい!』って、実は自分に期待しているからだもの」
「え?自分に期待??」訳の分からない表情を浮かべて私たちの方を見ている。
ゆずもニッコリ頷くと、
「人が羨ましく見えたとき、あなたはどんな気持ちになる?」
「惨め…ダメ…敗北感かな?」
「そうよねぇ…、でもそれだと私、あなたが可哀想過ぎると思う」
あずも続いて、
「人間てね、どんなに自分にダメ出しをしたって変わってはくれないの。
むしろ最後には反乱起こして自分に復讐されちゃうかも知れないのよ」
「え?じゃぁどうしたら…?」不安そうにひまわりさんがゆずの方を見た。
ゆずはあずとにっこり顔を見合わせながら優しく彼女に語り始めた。
「そんなときに良い方法があるのよ。ひまわりさんの中のもう一人の自分とお話しをするの」
「え?私の中の私と会話する?」
「そう。それも大親友だと思って心を込めて味方になってあげるのよ」
「私たちはそれを『マジカルダイアログ』(魔法の自分との対話)と呼んでるの」
あずも優しくひまわりさんの目を見ながら私に続いた。
「いつもあなたはダメだ!って言われるとつらいでしょ?」
「はい…」ひまわりさんは悲しそうな表情でうつむいた。
「誰かを羨ましく思っちゃったときは、
『いいよねぇ、あなたもあんな風になりたいんでしょ?分かる分かる』って自分に向かって言ってあげるの」
彼女はビックリした目をしてゆずを見つめた。
「羨ましいなんて…そんなこと認めちゃっていいんですか?」
「もちろんよ!勝手に湧いて来る感情には良いも悪いもないのよ。
それを否定しないで、その気持ちを分かってあげるの」
「自分の気持ちを分かってあげる?」
「そう。実際に声に出して言ってみて?」
「え?・・・(小さな声で)羨ましいんだよね」
彼女は自分の胸の辺りを見ながらそっとつぶやいた。
「どう?何て言ってる?心の中のひまわりさん」
・・・「うん…私もそうなれたらなって…」
「じゃぁ、そう言ってあげて。『そうなれたらいいよね』って」
・・・「あ!」突然ひまわりさんが驚いた顔をして口を開けた。
「なんか今、ふと心が軽くなったような…ちょっぴりだけど」
あずとゆずは顔を見合わせてニッコリした。そして今度はあずが言った。
「それは、もう一人のあなたが今『分かってくれた!』と喜んだ瞬間なのよ。
誰でも皆、心の中に分かって欲しいと願い続けている自分がいるの」
ゆずも続けて、
「否定はしないで、ただ分かってあげて欲しいの。一番の味方になって欲しいんだ。
ほら、大好きな人だったら何があっても味方になってあげるでしょ?そんな感じ!」
「でも難しくないですか?」半信半疑の表情でひまわりさんが尋ねた。
「やることは3つ! まず心の中の自分を『あなた』と呼ぶこと。
2つ目に『必ず声に出す』こと!3つ目は『優しく自分にボディタッチをしながら』語りかけること」
その後をあずが続けた。
「あなたと呼ぶのは、他人に言われている感覚が大切だからなの。
必ず声に出すのは、心で思う事とは区別をするため。本当の会話になることが大事だから。
ボディタッチは愛されている感覚を味わうために必要なの。」
「理解されるのは、他人からでも自分からでも効果は同じなの!だから是非やってみてね」
「羨ましいって思っても構わないんですね、私」
ひまわりさんが初めてホッとしたような微笑みを浮かべた。
「そう、そして忘れずに必ず言って欲しい言葉があるの。
それは、『分かるよ!好きだよ!私はあなたの味方だからね!』 この3つの言葉」
「私、自分にそんなこと言ったことがない」
少し戸惑い気味のひまわりさんに私たちはもう一押しした。
「だから言ってあげて欲しいのよ!!必ず変わるから!!」
しばらくためらっている様子のひまわりさんだったが、一呼吸すると小さな声で、
「どんなに人が羨ましくったって…私はあなたの味方だよ。…す・き・だから」
その瞬間、ひまわりさんの目から涙が溢れ出した。
「今どんな気持ち?」と私たち。
「何で涙が…でも嬉しいかも…不思議だけど」そう言って彼女は笑った。
彼女の周りがフワ~っと明るくなるような、そんな柔らかな笑顔だった。
彼女は本当にひまわりだったんだ。何だか、ふとそんな気がした。
この物語はフィクションであり、登場人物も含め、全て実在するものではありません。










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